大橋弘さんの写真をみたことがありますか?

 

初めて見たのは、「壺中の天(こちゅうのてん)」という小さな写真集でした。
このわたや味噌ゆべし、きび酢や塩辛、なれずしといった、
樽や甕に保存した食べ物が写っているのですが
それはそれは匂いたつような・・・
微生物のぴちぴちとした微かな動きまで伝わってくるような、
湿度と温かさのある写真なのです。

この本の題名は、
「壺の中に、仙人のすむ別天地がある」という
中国の故事に由来する言葉からつけられているそうで・・・。

大橋さんの言葉を、少し引用しますね。
「古代の人は、時季にどっさり収穫したものを、甕や壺、
桶や樽に入れて保存しました。
ある時それが腐らないばかりか、
塩やカビの力で、全く別の食べ物に生まれ変わることに気づきます。
(中略)
猛毒のふぐの卵巣でさえ安全な食べ物に変えてしまいます。
まさしく壺や桶は、いのちを宿す神秘の器だったのです。」

微生物と調和した食べ物が織りなす、豊かな光景を
自分も目の前で見ているかのような感覚にさせられます。

紙面で鑑賞するのが断然お勧めですが、すぐに見られるHPがあります。
ご興味があればぜひご覧になってください。

なお、上記の写真は大𣘺さんのものではありません。